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『いのちの循環 座談会』
2025年大阪・関西万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。大阪・関西万博「Co-Design Challenge」プログラムの一つに選定されたこの「想うベンチ」プロジェクトのサブタイトルは、「いのちの循環」…

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#大阪 #コメント集
大阪府の面積の3分の1は、森林。大阪は日本で2番目に小さい都道府県だし、「商いのまち」として発展してきた歴史的イメージも強いからか、そんなに森が広がっているの? と少々意外に感じるかもしれません。海に接しない大阪平野の三辺を取り囲んでいる森は、この地のひとたちにとってどのような存在なのか。大阪の森をフィールドに活動する方々を訪ねました。
「こどもたちの人生を、どこまでも信頼して関わっていきたい」と、2015年に森のようちえん「もりねっこ」を設立。大阪北部の千里北公園(吹田市)や服部緑地公園(豊中市)を中心に、親も子も楽しみ学び合い、自立することをメインとした活動を展開している。
※「森のようちえん」とは、自然体験活動を基軸にした子育て・保育、乳児・幼少期教育の総称をいう(NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟ホームページより)
午前10:00。この日は千里北公園(大阪府吹田市)で、少人数制の縦割り預かりクラス(おおむね3歳~6歳対象)の活動日。集合場所である原っぱの木の下に、8名ほどのこどもが続々と集まってくる。お父さんを置いて駆け寄ってくる子、お母さんにぎゅっとくっついている子、様子はさまざまだ。
みんなの集合を待つあいだ、見つけた木の枝を担いでのしのし歩き回る女の子がいた。枝は、女の子の身長の倍ほどの長さがある。少しハラハラして見つめていると、「枝の重みを楽しんでいるのかもしれませんね」と山口さん。山口さんの鷹揚な口ぶりに、もりねっこが大切にしている「大人たちが見守る中で、安心して遊びきること」を感じた。
午前10:30。「今日はどっちに行こうか」。千里北公園の広さは30ヘクタール(甲子園球場7.7個分)。こどもたちが「あっち!」と指した場所が、その日の活動場所になる。
思いのままに木の実を採るこどもたち。木をのぼる姿も、危険がない限りおとなは止めない。「届いた?」「ありがとう!」と友だちに向けて枝を傾けてあげていたのでした。
おとなだって、こどもを見守りながら「自分の中に流れる時間」を味わう。
スタッフの方が寝転がって「気持ちいい〜!」と口にするや、駆け寄るこどもたち。まぁこうなりますよね。
落ち葉を両手いっぱいに抱えて走る、駆ける。
かき集めた落ち葉を「せーの!」でこどもたちにシャワー。
お昼12:00。「そろそろお弁当を食べようか」と活動タイム終了。千里北公園の向こうには、1970年大阪万博に合わせて開発された日本最初のニュータウン「千里ニュータウン」が広がっている。
山口さん:
この日活動した千里北公園は、私が「森のようちえん もりねっこ」を始める前から好きだった場所の一つです。まちのなかの造成された公園でありつつ、人工的でない部分もたくさんあるんですよ。遊具にたよらなくても遊び相手になってくれる虫や森の草木が360°広がっていたり、舗装された道は最小限で、土や草を踏み締める感触を味わいながら園内を気の向くままに散策できたり。原っぱに寝転がって見上げる空も、自然そのもの。木の実を拾いながら親子の会話が弾む時間や、森の感触・匂い・音が五感に響いて癒される時間を過ごしていると、「私も自然とともに生きているんだな」としみじみ感じます。
たとえば、おとなって雨が降ると「出かけるの面倒くさいな」と思っちゃうじゃないですか。でも、こどもたちはフラットに「あ、雨が降ってる」と捉えて、雨の日ならではの匂いや空気や音を受け取ろうとします。自然が私たちをジャッジメントしないように、こどもたちも物事をジャッジメントしない存在。いずれは暮らしの知恵がついて「雨かぁ。いやだな」になる日がくるのでしょうけど、ジャッジメントしない幼少期のうちに答えのない、いろいろなものが混ざり合った環境で育ってほしいです。
ジャッジメントされない環境では、何を着るか、どこに行くか、何をするかなど、おのずと「自分で選ぶ」場面が多くなります。ゆくゆく人生で大きな選択をしていくにあたって、幼い頃から暮らしの端々で「自分はどうしたい?」を積み重ねていくことは大事。気温の低い日に薄着を選んで出かけて「寒い」と後悔したり、ともだちどうしで「こっちに行きたい」「私はあっち」から調和を図っていくのも、「選ぶ」をしてこその経験ですから。「あなたはどうしたい?」を訊いて存分に「選ぶ」機会をつくりたいと思って、「もりねっこ」を運営しています。
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