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まちの“となり”にある里山でトレイルラン。
『森での私たちの活動 vol.01』

#大阪 #コメント集

大阪府の面積の3分の1は、森林。大阪は日本で2番目に小さい都道府県だし、「商いのまち」として発展してきた歴史的イメージも強いからか、そんなに森が広がっているの? と少々意外に感じるかもしれません。海に接しない大阪平野の三辺を取り囲んでいる森は、この地のひとたちにとってどのような存在なのか。大阪の森をフィールドに活動する方々を訪ねました。

お話を伺った方

アウトドアショップ「ソトアソ」代表 菊川 光徳さん

大阪府交野(かたの)市、京阪電車私市(きさいち)駅から徒歩10秒のところでアウトドアショップやトレイルランナー向けクラブハウスを運営している「ソトアソ」(JR四条畷駅近くにも店舗あり)。「ライフスタイルに外遊びを!」をテーマに、交野の里山(私市駅から平坦な道を徒歩15分!)を中心としたトレイルランニングやハイク、焚き火ワークショップイベントも年間を通して開催している。

走ったり、ゆっくり歩いたり、眺めをたのしんだり。ルートはその日のおたのしみ。

京阪電車私市(きさいち)駅の目の前にあるハイキングマップ。近隣には2つの「府民の森」(くろんど園地、ほしだ園地)が。電車が到着するたびに、ハイカーやランナーが続々と駅の改札を出てくる。

取材日は、「府民の森くろんど園地」をトレランで巡り、交野クラフトビールで乾杯するFUNトレイルランイベント「きさいちBEERun」の開催日。駅前で集合したのち、ウォーミングアップも兼ねて平坦な住宅街を15分ほど走ったら、もうそこは里山の入り口。

入山してすぐの石階段。降り注ぐ朝日が気持ちいい。菊川さんは「この木漏れ日を浴びられるのは、午前中だけの特権。階段下から見上げるこの光景は、毎日来ていても幻想的だなと都度感動する」と言う。

里山を駆けていくイベント参加者の皆さん。ソトアソのくろんど園地のトレイルランイベントは、毎回ルートはその日のおたのしみなんだそう。「季節によって”推し”のスポットも変わってきますし、あとは参加者さんの人数やレベルに応じて”その日””その場所”で決めていきます」

途中に洞窟(?)などを見つけたら、積極的に寄り道。くろんど園地を知り(走り)尽くしている菊川さんや比嘉さん(ソトアソスタッフ)による解説つきで、「この岩はね……」と話を聞いていると、歴史の勉強になったりもする。

ちょうど紅葉シーズンだったこともあり、赤色の絨毯! ミシミシ・カサカサと音もたのしみながらトレイルランは続く。

ところどころに、手づくりと思われる樹木の紹介や「落石注意」の注意書きがある。ランナーだけでなく、ハイキングをたのしむ家族、普段着で散歩している年配の方など、さまざまなひとがまちの隣にあるこの里山を暮らしのフィールドの一部にしていることが窺えた。

ハァハアと息を切らしながらズンズン登ってたどり着いた展望台からの眺めは、「最高!」そのもの。

走ったり、ゆっくり歩いたり、眺めをたのしんだり。里山の清々しさを満喫した参加者さんたちは、「きさいちBEERun」のBEERを求めてまちへ戻っていった。

僕らが使うことで、「里山」が多様なひとを受け入れられる場所になる。

里山は、街を感じながら、非日常に入れる場所。奥深い山もいいけれど、そこに行くだけで一苦労ですよね。里山なら毎週でも通えるのが一番の魅力です。

9年前にお店をオープンするまでは、20年間近くマリンスポーツの世界にいました。当初は事業の都合で山の世界に足を踏み入れましたが、そのあとトレイルラン中に目にした木漏れ日がすごくきれいで。サーフィンで波待ちをしていたときに目にした日の出に負けないくらいの感動がありました。「地形で遊ぶ面白さ」もあって、今ではどっぷりと里山にハマってしまってしまいましたね。
 このあたり一帯は、もともと木炭や薪にするために木が植えられて森ができましたが、段々と手入れをする人が減って、今では朽ちてきている場所もあります。そんな里山も、遊び方がわかるひとが増えて活用されるようになれば、また手入れされて元気になっていくでしょう?
里山のいいところは、許容するひとの層が広いこと。本格的なトレイルランナーもいれば家族連れもいる。「アウトドア」というとハードルが高いと感じてしまうから、「外遊び」って僕らは言っています。僕らが里山を使うことで、小さなお子さんを連れた家族にも気軽に遊びに来てほしい。そういう家族にここで会うたびに、強く感じます。