樹の経過に想いを馳せる

ベンチのこと

Type C 樹の経過に想いを馳せる TITLE 「FILLET」 大きな丸太を建築物などに使われる「材料」の形に製材し、元の丸太の姿に組み直したベンチ。「材料」の工程として、反ったり割れたり変化する乾燥の過程を、万博会 […]

Type C

樹の経過に想いを馳せる

TITLE

「FILLET」

大きな丸太を建築物などに使われる「材料」の形に製材し、元の丸太の姿に組み直したベンチ。「材料」の工程として、反ったり割れたり変化する乾燥の過程を、万博会場で経ていきます。

Designed by
佐野 文彦 Sano Fumihiko

DESIGNER’S PROFILE
1981 年奈良県生まれ。数寄屋建築の名匠・中村外二工務店に大工として弟子入り。年季明け後、設計事務所、PPMOBLER などを経て2011 年独立。2016 年文化庁文化交流使として世界16 か国を歴訪し各地の文化と交わる数々のプロジェクトを敢行。独自の経験から得た技術と感覚を活かし、建築からアートまで領域横断的に活動している。

デザイナーの想い

樹の生きてきた何十年という時間に対して、万博は一瞬に過ぎません。切り倒され、材料として再出発し、建築などとして朽ち果てるまでの彼らの第二の時間のうち、乾燥し使われる為の準備の期間を一時的にベンチとして過ごす。そして万博が終わったら、建築の一部として旅立っていく。そんな彼らの束の間の仮の姿に寄りかからせてもらう。そんな関係になると良いと思っています。

ベンチができるまで

2024.4-2025.3

数々の建築や空間を手がけてきた佐野さん。「角材とか材料になってしまうと大阪の木だということは誰にも分からない。単に材を使用するということだけじゃなくて、万博会場に来ている人と大阪の森を近づけたい」と語っていた。

スケッチ図。いくつかの案を経て、この案に辿り着いた。

今回使用したのは、直径約50cm、長さ180cm の大阪産ヒノキの丸太4本。

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01/02: 今後「材料」として使いやすい大きさと形を想定した木取り。03:粗挽き製材後。一般的にはここから含水率が10% 以下になるまで乾燥させてから加工される。乾燥期間の間、どのくらいの反りや割れ、曲がりが発生するかは想定が難しいため、今回は安全面も考慮し含水率15% 程度まで人工乾燥させることに。

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01/02: 人工乾燥の釜から出てきた木材。03: 仮組みされた木材。割れなどもそのままに。ここからは引き続き万博会場で乾燥していく。

その他のベンチ