
時に安心した気持ちに 時に怖くなる気持ちに
田舎で育った私にとって星空を眺めることは普通で、見上げるとそこには無数の星が瞬いていました。
小学校で習ったオリオン座もカシオペア座も北斗七星も、くっきりはっきりと光り、すぐに見つけることができるくらい。
大阪の街中で星空を見上げても、星にはモヤがかかっているようでくっきりとは見えないけれど、1等星の星がチラホラと見えると嬉しくなるし、同時に何だかホッとします。
なぜ私は星空を見ると安心した気持ちになるんだろう? そしてその反面、時に怖く感じることはなぜなんだろう? ふとそんな疑問が湧いてきて、誰かに聞いてみたいな、と思うようになりました。星空に詳しいプラネタリウムの方なら共感してもらえるかも! もしくはこんな感覚もあるよ、と何らかの意見をもらえるんじゃないかと思い、アタックしてみることにしました。
もやもやを胸に、プラネタリウム訪問
東大阪市にあるドリーム21(市立児童文化スポーツセンター)のプラネタリウムを訪ね、その後、投影員の方にお話を伺いました。
まずはプラネタリウムで星空を鑑賞。ここドリーム21のプラネタリウムは、なんと寝転びながら鑑賞できるエリアがあり、原っぱで星空を見上げる感覚が疑似体験できます。もちろん、私の狙いは一択。寝転びエリアを陣取りました。

プラネタリウム内は全面にグリーンのカーペットが敷かれていて、寝転びエリアにはアウトドアブランドDODさんのマットがセットされています。
今からキャンプ気分で星空を見上げることができるんだと思うとワクワクが止まらず、早速靴を脱いで寝転んでみたり、三角座りしてみたり、天井を見上げてみたり、投影されるまでソワソワ落ち着かない私。そうこうしているうちにいよいよ上映が始まります。
プログラム「星宙(ほしそら)めぐり」は約45分の上映で、東大阪の太陽が沈みかけていく夕方から夜が明ける朝までを追っていきました。
中盤では星にぐぐっと近づいて星座にフォーカス。この場面になるとそれぞれの星が大きくなり、一気にキラキラと輝き出します。
その時私は星空を見上げて少し怖くなったことを思い出しました。ああ、これかな? 星が自分に近づいてくるようで星に飲み込まれそうな錯覚。でもそれを言葉で表現するのは難しく、なんとなくの感覚なのです。
私たちは星の欠片でできている

投影が終わり、投影員の田中尚美さんにお話を伺いました。
「なぜ星空をテーマに選んだのですか?」と田中さんに問われ、「星空から命の循環を感じたからなんです」と答えた私。
包み込まれるような安心感や癒し、子どもと星座を見つける楽しさ。その癒しや楽しさを子どもに伝え、また子どもたちも同じように伝えていってほしいという想いや願いが巡るように感じたからなのです。
田中さんはこう話します。
「私たちは“星の欠片でできている”ってよく言われるんですね。私たち(人間)のからだは星(宇宙)の中の成分で作られているので。そう思うと、星(宇宙)はお母さんであって、お母さんに包まれているような安心感があるのかなというようなことは、よく言ってますね」
なるほど。私たちは星(宇宙)の一部であって、だから星空や宇宙に想いを馳せたり、包み込まれるような安心感を得たりするのだな。そう思うと妙に納得できるし、自分の存在をちゃんと見てくれているのだ、と感じることができます。田中さんの言葉がグサッと私の胸にぶっ刺さりました。そして、それなら私をもっと輝かせたい! まだまだ輝かせることができる! なんてポジティブなマインドも溢れ出てきました。
田中さんは続けます。「宇宙って今わかっている部分はほんの数%で、ほとんどまだわかっていないことばっかりなんですよね。私たちも日頃使えている可能性っていうのはまだ数%ですよね。宇宙は本当に無限に感じるじゃないですか。同時に私たちの中の可能性っていうのも無限なので、星空を見上げながら自分の可能性に気づいて、『諦めないでいこう』みたいな感じで進んでいけたらいいなと思いますね」
そして、まだまだ宇宙は広がっていると言われているそうです。それなら自分自身も宇宙と同じだけの可能性がある、ということですよね。
「そうですね。自分を追い詰めるのではなく、まだまだ私は大丈夫、頑張れる」
私自身それなりの年齢なのですが、この話を伺って“まだまだチャレンジできる”と思えました。
得体の知れない怖さと感動に似た感情
最後に怖さを感じることについて聞いてみたのですが、田中さんはそのように思ったことが無いそうで、他のスタッフさんに尋ねてみたところこんなお話があったといいます。「星が降るような真っ暗な中で見たことがある人は、何となく怖いというか『なんかいつもと違うぞ』というような感覚を覚えたことがあると言っていました。満天の星の中、地上と星の境目も曖昧になり、奥行きとか広さとかがわからない中で、ダイレクトに星を見て無限のように広がる宇宙を感じ、未知のものに遭遇した時のような心持ちや自分の存在の不確かさ、星空に対して“畏怖の念”を抱くのかもしれません」
“畏怖の念”。あぁそうか。そうかもしれない。
例えば山の中に入ったとき。たくさんの木が生い茂っていて、上を見上げるとそれぞれの葉がわさわさと風に揺れて、ちょっと怖くなる感じがあります。その怖さとは恐怖ではなくて、得体の知れない何かに飲まれそうな怖さ。この大きな自然の中で自分って何者なんだろうかと何もできない無力さを感じたり。でもそれと同時にこの大きな自然の中に自分は生きているんだな、という感動に似たような感情。
“満天の星空を見て少し怖く感じた”というのはこれと同じ感情なのでしょうね。
プラネタリウムを通じ、自分は宇宙から見るとちっぽけな存在だけども、確かにここに存在している。自分の力の可能性はまだまだ広げていける。そんな風に気付かされました。そして星空を見上げると感じる安心感は、ただ穏やかさを与えてくれるだけではなく、背中を押してくれるような力強さも秘めている。私はますます星空を見ることに惹かれ、存在意義を感じるようになりました。
ドリーム21(東大阪市立児童文化スポーツセンター)
〒578-0923 東大阪市松原南2丁目7-21
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日(祝日のときは開館)、祝日の翌日(土、日、祝日のときは開館)、年末年始
近鉄奈良線「東花園駅」から北東へ約900m
大阪府民ボランティアライター「想うライター」について
「想うライター」のメンバーは、大阪府に居住または通勤・通学している学生・社会人です。「想うベンチプロジェクト」のテーマ「いのちの循環」を軸に自分の興味・関心を起点にした企画を立て、プロの編集者のアドバイスやサポートを受けながら、取材・原稿制作を行っています。